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どんぐりでパンが買えた

 娘はペンギンが抱えたパンの絵や包み紙を見て、可愛いサンドイッチだねと言ったあと、パン屋ネーム繋がりに2018年9月6日の胆振東部地震とブラックアウト直後、札幌では有名なパン屋さんの「どんぐり」全店閉店となった。営業再開してすぐに「どんぐり」のファンが大好物のパンを買い「やっとどんぐりでパンが買えた!」とネットで呟き、その呟きを見た人々は「札幌ではどんぐりでモノが買えるのか~新規の貨幣モデルか」などの反応があったと話してくれた。

 石や貝、布や塩(サラリー)米と貨幣の歴史は古い。今や貨幣スタイルは大きく変わりスマホやQRコード決済などICチップ、仮想通貨を含めて40種類以上のキャッシュレス多様化時代。

 五輪直前に政府も強力に後押ししているが、ドングリは今も北海道内、札幌や千歳でまだ貨幣代わりに買い物には使われていないのです。

 宮沢賢治著「どんぐりと山猫/1921.9.19作」はドングリたちの裁判を行う事で山猫から一郎に出頭要請が届き、判決後に山猫は「黄金(キン)のどんぐりと塩鮭の頭のどちらかをお礼にしたい」と言い、一郎は黄金(キン)のドングリ一升を選んだのだが、帰りの馬車の中でもらったどんぐりのキン色は消えてしまっていた。

 どんぐり裁判は、丸いの、大きいの、頭のとんがっているのと、どのどんぐりが一番偉いのかの審議に一郎は「一番馬鹿でめちゃくちゃでまるでなっていないようなのが偉いのだ」と教示。

 誰が偉い、偉さの基準とは何、他と比較する事、多様な価値観を考える裁判だったのかな。『偉い』は優れている人。優れるは優しい事~悲しみや心配事の意の「憂」の横に人が立つ~偉いは相手に寄り添い立場を理解出来る事。自分が一番偉いと勘違いする人達が多い気がする。

 どんぐり(団栗)は建材や床材、船材などオーク材と呼ばれ幅広く活用される樫、クヌギ、ナラの果実でリス(栗鼠)は大好物のドングリを収集して土中に隠すも、物忘れするリスは隠したまま冬を迎えそのまま土中に眠る。

 「ブナ(椈)の森は緑のダム」と呼ばれるものの、人間の暮らしに役立たない木とされ「橅」の当て字され、逆にニシン(鰊)は「魚無」の当て字で魚でなく鰊は米だと北海道の昔の栄華を物語る。石炭は黒ダイヤ小豆は赤ダイヤと呼ばれていた時代があった。どんぐりもいつかは…【田所拝】